TEZZO開発部テクニカルレポート
TEZZO開発部のエアクリーナーレイアウトの考え方。
理想的な吸気温度は外気温に近い程よい、だがエンジンの最適温度は80℃
最近のフィアットやアルファ車のエンジンの吸気温度は、
外気温との温度差が±十数℃以内の空気を吸入することが
理想とされている(DTT開発部のリサーチで判明)。
メーカーはこの温度範囲内が最もパワーロスがないと考えているようだ。
一方、エンジンの最適温度は80℃位(冷却水の適正温度)とされていて、
実際のエンジンルームも、通常の使い方で80~90℃、冬場でも70~80℃位にはなる。
したがって理想的な吸気温度を取り入れるには熱いエンジンルームではなく、
外気に近い空気を取り込んだほうが良い。
基本的にTEZZO開発部はこの考え方に基づいてエアクリーナを製品化している。
キノコむき出しはフェイルセーフのリスクも
輸入車の多くは外気からフレッシュエアを導入しラム圧がかかりやすい位置に
エアクリーナーの吸気口を設置している。メーカーは外気温も計算して位置を決めている。
純正のレイアウトはよく考えられており、同じ取り回しをすることは有効である。
他社アフターパーツメーカーの製品の中には、エンジンルーム内にむき出しの
エアクリーナー(俗に言うキノコ)をレイアウトしているケースを見受ける。
それだとエンジンルーム内の熱い空気を取り入れることとなってしまうことが考えられる。
一般的に吸気温度が10℃上昇すると酸素量は3~4%減少するので、
純正よりも性能が下がってしまうこととなり避けたいところであるとTEZZO開発部は考えている。
とくにフィアットやアルファ車に関しては、性能向上が期待できないだけでなく、
車種によっては吸気温度が上がり過ぎるとフェイルセーフが働き、出力が抑えられてしまうリスクもあるはずだ。
最近のフィアットやアルファ車の考え方は、スロットルは開け、
バルブの開閉でマネージメントするので、エアクリーナー内の負圧は少ない。
スロットルからバルブの間で調整することが多い。マルチエア車などは特にそうである。
TEZZOの狙い より多くの酸素を
逆に言えば吸気温度が10℃下げられれば酸素量は3~4%増加する。
気圧が高く、温度が低いほどエンジンの効率は良くなる
(1気圧を基準に気圧が0.1上がれば、吸入濃度が10%上がる。
この点に着目し、自由なレイアウトを可能とするジャバラホースを利用し、
エンジン熱を受けにくい場所に遮熱性の高いカーボンボックスを設置し、
熱による影響とスペースの問題を解決。よりフレッシュなエアをエンジンへ直送し、
充填効率を向上させるのがTEZZOエアクリーナの考え方だ。
汎用キットではレイアウトが不可能となるケースもあるため、
TEZZOでは一台一台レイアウトと性能のバランスを高める工夫をして製品化している。
冷えすぎては駄目なの?
ターボ車は吸入温度が上がると極端に性能ダウンするが、
また低くすぎると排圧が上がることでタービンが多く回り、
過給圧が上がってオーバーシュートして、チェックランプが点灯してしまうことがある。
DTT開発部のリサーチでは、ジュリエッタの数種類あるECUのひとつの型番で
温度が低く過ぎると判断されてしまうことがわかり、そのECUでは少し性能を純正に
近づける対策キットで対応しいてる。
今後の課題
理論的には、エアクリーナーを通過してから燃焼室に入るまでの距離が短いほど、
よりフレッシュなエアを取り込むことが出来る。
しかし大きなクリーナーボックス(大きい方が充填効率はよいのだが)を
レイアウトするスペースが最近のクルマは取りにくいので、車種によってはジャバラホースが
長くなってしまうケースもある。またジャバラを使用する場合、NAであれば吸入量が多くないが、
ターボ車の場合は、ジャバラホース内の流速も速いので、
内部で乱気流が発生し吸入効率が落ちることとなる。
そのためにはできるだけストレートのパイプを使うとこの問題は解決できるが、
それだとフレッシュエア導入のレイアウトが困難となり、
また気をつけなければエンジン熱でパイプ自体が加熱し、
結果的に吸入温度が高くなってしまう。それでは元も子もない。
最良のバランスを見極めることが大切だ。現状ではジャバラホースによるフレッシュエア導入が
ベターな選択で、ジャバラの収縮による吸気量の不足を
遮熱効果もあるカーボンボックスを用いて、チャンバー効果を発生させて、一時的な吸気効率の低下の対策も施している。
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